ぶり鶏の中尾
昔から 鶏刺しをあてに、仲間と焼酎を飲みながら楽しい時間を過ごすのが何よりも大好きで建設業を営む傍ら 趣味で地鶏を飼っていました。
そのうち知人の間で評判になり、もっと数を増やしてほしいと要望が相次ぎました。
そこで、本格的に養鶏業を始めようとした時に人との縁で“ぶり鶏”に出会いました。
良い環境で育てたいと木々の茂る山を見つけ、自ら切り開き、道をつくり、生えていた杉を使って鶏舎を建て少しずつ増やし、今では6000羽を飼育しています。
木々に覆われた広い鶏舎では、まるで放し飼いのように鶏たちが自由に動き回り、野草をつつきながら食べています。
鶏の臭いは全くせず、森林の香りが爽やかに流れる空間です。
忘れかけていた田舎の庭先の風景がここにはあるとよく驚かれます。
―ぶり鶏の魅力―
自然農法というよりほぼ野生の環境で育てられたぶり鶏は、身が締まっているのに肉質はやわらかく、噛むほどに溢れ出たうま味は口いっぱいに広がります。
飼料は、鶏の体に良いものをと米ぬかや芋、広葉樹の炭など自然のものを独自にブレンドしています。
飼育期間は、ブロイラーの約3倍の180日。
大きくするために無理やり高カロリーの餌をあげ太らせるのではなく、鶏が運動してお腹が空いたら食べるように、自然のままゆっくり育てます。
時間と根気がいるぶり鶏の飼育は商業用には難しいと生産者はほとんどいなくなり、地元でも稀少な地鶏となりました。
今では、多くのメディアに取り上げられ、全国各地に中尾のぶり鶏を待つファンがいます。
中尾 勇一氏
一番大事なのは、常に鶏たちの健康状態を良い状態に保つこと。
朝5時頃から鶏の顔が見たくて出ていっては鶏に話しかけるんです。
周りからは大変だろうと言われるんですが、自分でやりたかったことだから毎日が楽しいですよ。
【ぶり鶏の中尾】
取材協力 中尾 勇一氏